静電容量式レベル計はレベル計測以外の様々な箇所で使用されています。
旧来の静電容量式センサは液体を計測するだけでしたが、当社の静電容量式レベル機器は様々なアプリケーションに対応しています。
ここでは、静電容量式レベル計の原理やその応用例を紹介いたします。また、下記のアプリケーションの他に「こんな状況にも対応できるレベルスイッチが欲しい」という声にもお応えしています。
静電容量式レベル計の原理
応用例…非接触での液面の連続レベル計測について
応用例…小型タンクの液面のレベル計測について
応用例…泡(アワ)のレベル計測
応用例…油と水の乳化状態の計測
静電容量式レベル計の原理
電極(センサ部)には、検出電極と接地電極の2つの極が有り、2つの電極間の静電容量(キャパシタンス)とコンダクタンス(導電度)を検出しています。
電極部に接続された電子回路(アンプ部)によって、物質の量や状態を計測します。
静電容量式の利点
- 液体から粉体、絶縁体から導電体まであらゆる物質の計測や測定が可能。
- 温度、圧力、粉塵等の影響を受けない。
- 電極の形状や材質の設計自由度がひろく、様々な条件に合わせた選定が可能。
- 電極に可動部がなく耐久性に優れる。
応用例…非接触での液面の連続レベル計測について
- 液体の注入装置を製作していますが、直径1cmのガラス管内に貯まる液面の連続指示を計測したいと考えています。現在、複数の「非接触の光学式スイッチ」をガラスチューブに取付け計測していますが、1台で液面の連続指示を計測できるセンサーはありますか?
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液体の有無を非接触で検知する小型の「静電容量式」や「光学式」のレベルスイッチで、ガラス管の連続レベルを計測するためには、これらのレベルスイッチを複数個、直列にガラス管に取付けて計測するしか方法がありません(下図A〜B参照)。
弊社の「レベル制御機器用」変換器とガラス管用電極を組み合わせれば、非接触でガラス管、樹脂チューブ管の液体の連続レベルを計測することが可能です(下図C参照)また、液体タンクには目視用のレベルゲージ(ガラスゲージ)が側面に取付けられていることがありますが、目視確認だけでなく、電気信号によってレベル指示を取り込みたいとの御要望も御座います。その解決方法の一つとしまして、レベルゲージに専用のセンサ電極を取付け、レベルゲージ内の液面(静電容量)の変化を弊社の「レベル機器用」アンプで変換することにより、電気信号での連続指示出力が可能になります。
弊社の「液面制御用」アンプでは、上記ガラス管など様々な用途の計測が可能です。
但し、測定物および使用環境によっては詳細な検討が必要ですので、弊社までお気軽に御相談ください。
応用例…小型タンクの液面のレベル計測について
- 小型タンク内の液面の連続レベルを計測したいのですが、「洗浄性がよく、高温高圧の環境下で使用可能な」液面計を探しています。このような環境下で使用可能な液面計で良いものはありますか?
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液面計は、既に説明しましたように「圧力式」「フロート式(磁歪式)」「超音波式」「静電容量式」など様々な製品がありますが、それぞれの方式において一長一短あり、苛酷な条件で使用できる液面計は慎重に検討する必要があります。御質問になられている「洗浄性の良さ」等の解決については弊社の製品であるMXL型液面計をおすすめします。
測定物のご確認について
静電容量式はほとんどの測定物に対応しますが、測定物の誘電率によって計測が難しい測定物もございます。測定物の確認については、お気軽に弊社営業部まで御相談ください。
応用例…泡(アワ)のレベル計測
- 液体や粉体のレベル計測は一般的ですが、泡のレベル計測はできるのでしょうか?
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数年前、大手メーカーA工場のご担当者様から「製造工程上の化学反応で発生する泡の厚み・レベルを測定したい。なにか良いものが無いだろうか?」とのご連絡をいただきました。
そこで、弊社の方で検討した結果、静電容量式のレベル計測のご提案をさせていただきました。
実際にタンクに静電容量式レベル計を設置してみた結果、泡の検出のみならず、泡の連続レベルが検出でき、問題を解決することができました。
応用例…油と水の乳化状態の計測
- 静電容量センサを応用した計測事例にはどんなものがありますか?
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弊社の製品として「油の中に含まれる水分値の計測センサ」がございますが、今回は特殊事例として油と水の乳化状態の計測事例を紹介します。
乳化を行うために左下のタンクの中で油に水を加えて攪拌を行いますが、油と水を混合する途中では、時間がたつと分離するために必要以上に攪拌機を回している現場が多いようです。
静電容量の原理
自然界の物質は必ず固有の誘電率を持っています。
水の比誘電率は80であるのに対して、油の誘電率は2〜3しかありません。静電容量センサは検出電極によって、これら水や油等の物質の増加(比誘電率の物質の増加に比例)を静電容量の増加分としてとらえ検出信号を出力します。
計測の説明
最初は油と水は分離した状態にありますが、攪拌を行うことにより乳化粒子の大きさが小さくなり最後は完全に乳化します。攪拌することにより、センサの周りを油→水→油→水→油と交互に通過し、乳化が進むにつれて右上の画面の様に誘電率の出力信号の変化幅(水の比誘電率は80、油は2〜3)がだんだん小さくなり、現在の乳化の段階を計測できるのです。結果、攪拌を止めても良いかどうかの適切な判断が可能になりました。
注意点
本事例は特殊な計測事例です。混合させる物質の種類(導電性の物質が混在した場合)や物質の状態によっては正確に計測できない場合もございますので事前の確認が必要です。