工場やプラント等で扱われる可燃性ガス・蒸気などは大気に漏洩すると、空気と混合して爆発性雰囲気を形成します。このような危険場所で、センサ機器を使用する場合には、センサ機器についても、可燃物の着火源とならないように特別な技術的対策を講じた構造で製造する必要が生じます。
このような構造を有する機器を防爆機器と言い、これらの機器の防爆規格について説明します。
防爆構造と規格について
機器の防爆構造とは、爆発の恐れのある可燃性ガス、蒸気などが大気中に含まれている可能性のある危険場所において、可燃物の着火源にならない様に、技術的な対策を講じた手法を意味しています。これらの防爆の規格は、労働省によって電気機器の防爆構造に関係する規格が定められております。
規格について
日本の防爆規格は下記の2種類があります。
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電気機械器具防爆構造規格(労働省告示第16号)
昭和44年に制定され、「d2G4」等の表記がされています。
日本国内の古い防爆機器はこちらを取得しています。
表記方法の例
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i3aG4
1桁目は防爆構造の種類(dは耐圧防爆、iは本質安全防爆)
2〜3桁目は爆発等級(1、2、3a、3b、3c、3nにて分類)
4〜5桁目は発火温度の等級(G1〜G6の6種で分類) -
d2G4
1桁目のdは防爆構造の種類「耐圧防爆構造」を表し、
2桁目は爆発等級の2を表し
3〜4桁目は発火温度の等級G4を表しています
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技術的基準(IEC規格79関係)
昭和63年(平成8年改正)に、IEC(国際電気基準会議)が定めた国際規格(IEC79)との整合をはかるため制定されたもので、「ExiaUBT6」等の表記がされています。
表記方法の例
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ExiaUBT6
1〜2桁目のExは技術的基準の防爆記号
3〜4桁目は防爆構造の種類(dは耐圧防爆、iaは本質安全防爆)
5〜6桁目は爆発等級(U、UA、UB、UCにて分類)
7〜8桁目は発火温度の等級(T1〜T6の6種類で分類)
防爆規格の種類について
防爆規格にはいくつかの種類がありますが、ここでは弊社製品に関係するもの(耐圧防爆構造、本質安全防爆構造)を中心に説明します。
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耐圧防爆構造
着火源となる電子機器を入れる容器そのものに防爆性能を持たせることにより、容器内部で爆発が生じても、容器の外部には爆発が及ばないようにした構造(全閉構造)で、内部爆発に耐える容器の強度と容器の隙間から火花等が外部へ着火しないようになっています。 -
本質安全防爆構造
低圧電子機器が該当し、電子回路において発生する電気火花が着火源として作用しない(又は高温にならないような低い値)ものになります。防爆仕様の電子回路設計により、危険な火花や高い熱が発生されないようになっています。
その他、防爆規格の種類として、油入防爆構造(電気火花が発生する箇所を油中に収めて引火させない構造)、内圧防爆構造(容器内部に気体を圧入し、引火させない構造)、安全増防爆構造(より安全性を高めた構造)などの種類があります。